まず,地震学は地震を予知する学問じゃない.
起こった地震を解析して発生機構や諸事象を
研究する学問です.これらの研究が進んだ
結果,耐震強度の非常に高い建造物の建築が
可能になった.現在の耐震基準に沿った建物は
震度7の1.5倍の揺れが来ても倒壊しない.
東京の臨海部,海に川の水が流れ込むような
緩い地盤にあれだけの超高層ビルを建てる
ことができるのも地震・地盤の研究が進んだから.
これだけの「結果を出している」のが地震学.
地震学を勘違いしている人が多すぎる.
地震学=地震予知と自分で勝手に定義を作って
「予知のできない地震学は要らない」など
地震学を非難している人は一体誰と戦って
いるんだ?と思わざるを得ないんですよね.
はっきり言うと地震予知は現時点では不可能.
日本地図に活断層を書き込んだら日本列島が
真っ黒になるレベルで活断層が存在し,
さらには地下数十kmに渡って詳細な
地盤の様子をcmやmm単位で広範に渡って
分かっていないと何が起こるかわからない.
一本知らない断層や地層が入っているだけで
予想は外れる.さらにマントル対流や月の
潮汐の影響など,複雑に絡み合う全ての
事象がわかってないと正確な予知はできない.
極端な話,今自分がいる地点から寸分狂いなく
深さ10km地点にある1つの岩盤が地震の
発生に影響を与えている可能性だってある.
その存在を知らないだけで予知は狂う.
スーパーコンピューターで予測したくても,
こういう非常に詳細な,cmやmm単位での
地盤の様子を広さ何百万㎢,深さ数百kmで
全部わかっていないと,そもそもスパコンに
入力する情報不足になってしまうわけだ.
仮にその情報が全てわかっても,それ以外の
予知にかかわる要因があまりにも多い.
そういう事を知るほど,地震学の現時点での
役割は予知ではなく「発生機構や各事象を
分析して耐震性の優れた建造物の開発に
寄与し,被害を最小限に食い止める事」が
研究に税金を投入してくれていることへの
結果を出すことだと思うんですけどね.
そしてそれなり以上の結果は出している.
もちろん地震予知ができたらそれは
素晴らしいことだし,地震学の研究を
予知に応用できないか模索している学者も
いるわけで.でも学問が実用段階まで
発展するまでにはそれなりの時間がかかります.
今,予知ができていないから地震学者なんて
なくせ!というのは,過程をすべて否定
すること.過程があるから結果があるわけで,
結果だけすぐ出せ!出せないなら役立たず!と
言うのは「私は本気で物事に取り組んだ
ことのない人間です」ということを自分から
言ってしまっていることになるんじゃ
ないでしょうかね.
少なくとも地震学者を叩くのはおかしいし,
そんなのはごく一部と信じたい・・・.